WGT156メキシコ料理(報告)

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★WGT 第10フェーズ第20回(通算第156回)【メキシコ料理】報告

●国　名:メキシコ合衆国[墨西哥]

●実施日:20２４/10/27(日)

●参加者:4名(幹事:Tosh)

　今回は当初幹事ばっくれにより主宰が代行して行いました。対象はメキシコ。
　知っているようで知らない国というイメージのメキシコでしたが、御国柄についても料理についても個性的な側面が多く、楽しめる国でした。ただ、当日のテーブルトークよりも予習しているときの方が、体系的に調べたこともあってよりメキシコを感じられたような気もします。
　実施報告の中で今一度ビビッと来たことをまとめておきましょう。

　日本より早く世界文化遺産に登録されたメキシコ料理ですから、敬意を表してそこから振り返ってみたく思います。
　そんなステータスを持っていることから特徴的な料理が目白押し。正直似た料理の味比べも含めて全部注文してやろうかと思うくらいの充実度でした。
　そうはいっても現実的には部分に留めざるを得ず、一応幹事としてはテーマをもってチョイスする提案に。
　一つにはトルティーヤ。言わずと知れたトウモコシ粉で作られたパン。調理方法によって様々に名前が変わりますが、何はともあれいくつかのパターンをこなそう！
　二つにはサボテン。個人的にはメキシコ料理と言えば…トルティーヤよりサボテン！が個性を発揮していると思料。この青臭い野菜は外せん！
　三つにはモレ。言葉自体はナワトル語でソースの意味ですが、目当てはチョコレートソース。なんとメキシコはチョコレート発祥国。こいつは外せん！
　四つには、それにあぶれた者たちながら、個性の理由がそれなりに立つものから優先的に。

　踏まえての先鋒はナチョス。
　いきなりテクス・メクス料理、すなわちカスタマイズされたメキシコ料理であるアメリカ料理からスタート。とは言え逆輸入されて昇華する例もあるようなので、あくまでもメキシコ料理ということで。
　トルティーヤチップスのパリっとした食感と具材の野菜のジューシーさ、両極端な個性が醸すハーモニーがオードブルにピッタリ。Toshは下戸なので夢見るしかありませんでしたが、一杯引っかけながら食したい気分になったものです。
　因みに、選に漏れたライバルはトルティーヤ系のケサディージャでした。こちらも惹かれたのですけどね。

タコス・デ・コチニータ・ピビル
(スパイシーポーク)

　続いてはタコス。トルティーヤで様々な具を包んで食べる料理。
　メキシコ料理食べに行ってタコスを無視はできないでしょう！と2種類を注文することに(肉系がダメな方おられたので、肉系とそれ以外系にて半々で)。店員さんと意思疎通ができず2倍の量が提供されてしまいましたが、逆に一人1種類の予定が2種類とも食べられることになったので良しとしましょう。
　1種類目はタコス・デ・コチニータ・ピビル、豚肉ベースでユカタン半島スタイルのもの。2種類目はタコス・デ・ノバレス、サボテンとスモークサーモンベースのもの。
　味変ができたゆえ楽しめたのですが、やはり定番の肉ベースの方がトルティーヤとの相性が良いように感じました。
　そういえば、タコス・デ・ノバレスについては、店員さんにトウモロコシ粉トルティーヤと小麦粉トルティーヤのどちらにする？と聞かれました。典型はトウモロコシでしょう！と勢いでチョイスしてしまいましたが、差を感じるには小麦粉トルティーヤにした方が良かったですかね？後の祭りです。
　なお、開催案内で記載した通り、この料理は美味しいくせに食べにくい！手が必ず汚れます。予習の通りに工夫もしてみましたがマシになったレベル。まぁ味には満足したので、この際どうでも良いのですけどね。
　…と、食べ物に加えて関心が向いたのが、タコチューズデーなる風習。アメリカの食文化で毎週火曜日にタコスを食べに行く習慣、もしくは火曜日の夜にトルティーヤを使ったメキシコ料理を食べる習慣。大都市特に南カリフォルニアで根付いているようで、レストランでも特別価格で振る舞われるそうです。まぁ、日本のバレンタインデーにはチョコレートを渡す的な商業的な由来なのでしょうけどね。アメリカにはヒスパニック系国民も大きな割合を占めることから、前向きに認知・継承されているようです。

　第一真打はサボテンステーキ。
　まず見た目が振るっていました。ちょっと歪ではあったもののサボテンの原型を保って平べったい姿で登場したのでおぉ～っと思わました。
　味はというとピーマンを丸かじりしている感じ。青臭さが際立ちます。トマトの付け合わせがあったので一緒に食べてみましたが、そんなもので消え去る青々しさではありませんでした(笑)。決して美味とも思いませんでしたが、その個性を感じれば病みつきになる風味とも言えたかと。
　サボテンは、その他前述のタコスの具材で使われていたり、さらにはジュースでも注文したりしてみました。どれも存在感が半端なく、やはりメキシコ料理の実質代表選手であるべき！と認識を新たにしたところです。

　トルティーヤ・バリエーションの一つとしてエンチラーダにも白羽の矢を立てました。
　トルティーヤを巻いてフィリングを詰め、唐辛子のソースをかけた料理で、フィリングに使われる具材はなんでもござれ。
　今回の中身はチェックし洩れましたが、雑多な風味が鼻腔をくすぐり奥深い香りでした。そして、これも材料が不明だった赤のソースと緑のソースも個性が強くさらに複雑な風味に。ただトルティーヤが少しベチャベチャすることになり、トルティーヤの食べ方としてはイマイチな感じがしたものです。
　ナチョス、タコスと来てエンチラーダ。今回ケサディージャとブリートには手が付きませんでしたが、個人的な見解としては、トルティーヤは乾いている方が魅力的な感じがしたものです。

　当初予習時には想定していなかったものの、開催店のメニューを見ていて「これはっ！」と見つけたのがモレ。これが第二真打。
　料理の名称ではなくナワトル語でソースの意味。アボカドソースをワカモレというのと同じ。この料理で使われるソースがなんとチョコレート！前述したようにメキシコはチョコレート原産国。狙いたくなったわけです。
　ソースという料理名ゆえ具材はなんでも良いのでしょうけど、この店ではチキンとの組み合わせでした。果たして、変わり種ソースがなかなか乙な風味を醸します。食べつけないゆえ、必ずしもこれは合う！という気にはなりませんでしたが、工夫としてはありだなと思える設えになっていました。他の調味料も入ってることからチョコチョコしているわけでもなかったことで、ほんのり香ってくる辺りが良いバランスを醸して功を奏していたかもしれません。

　オプションはハラペーニョのクリームチーズ揚げ。
　S姉がオープニングから所望していたものの、上記の料理で腹が満たされそうな感じもあったので一旦見送っていたものでした。
　ハラペーニョと言えばメキシコを代表する青唐辛子。料理の辛み負荷にも貢献しますが、先入観からするとホットソースの原料となるものと承知するところ。
　今回の料理はチーズでマイルド化されてはいるものの基本丸かじりなので当然辛い料理ということでしたが、シェアしたところ辛くない部分もあったようで、そちらを食べた人は平気な顔でした。もっとも辛い部分とて悶絶する辛さではありませんでしたけどね。
　逆にA姉が所望したタマレスはこの日提供無し。
　トウコロシ料理これでもか！の一角を成す料理ですが、トルティーヤ系と違って蒸し料理なのでまた一風変わった味わいが期待できたはずなのですが…残念。

　その他はデザート・ドリンクを簡単に。
　フランはクリームチーズプリン。濃厚なチーズケーキ的に堪能しました。
　アロス・コン・レチェはライスプリン。スペイン語で「米と共に乳」の料理名で見たまま。メキシコならずとも食せるデザートでした。
　サボテンジュースはとろろ入りの青汁というか、メカブを啜っているというかのような気分に。
　キュウリジュースは甘く設えられており、スイカジュース？メロンジュース？と形容したくなる味わいで想定外の美味しさ。
　辛党の方はテキーラの3種飲み比べセットを注文していました。

　以上、テーマに挙げたトルティーヤ(トウモロコシ系料理)、サボテン、モレを十二分に堪能しました。
　前述したように、それ以外も魅力的なメニューで、状況が許せば全部食べてみたくなったほど。さらにはメニューに載っていない昆虫食やアステカ文明料理なども体験できれば、さらにメキシコ料理の奥深さを感じられるのにと思いました。
　メキシコ料理の美味さの向こうに見える、何故トウモコロシなのか？なぜサボテンなのか？に触れる会話にはなりませんでしたが、遠くメキシコの地に思いを馳せれば、その流れは無意識に感じられたとも言えるかと。
　世界文化遺産に値する料理と得心した次第です。

　会場は下北沢にあるテピート。
　開催案内でも記しましたが、著名なメキシコの音楽家チューチョ・デ・メヒコが関係するレストラン。メキシコで人生を送っても不自由は無かったでしょうに、グループを解散後に日本を拠点に活動することにした辺りに親近感を覚えます。
　料理の充実度に加えて、店員さんの穏やかで丁寧な応対も好印象でした。日本語がおぼつかなくても一生懸命確認しようとしてくれる辺り、質問すれば詳しい人と交代して着地感のある提案をしてくれる辺り、店は満席で忙しそうなのに手を抜かず、でもテキパキと対応してくれることで気分が良かったです。
　実はオーナーは日本人ではありますがチューチョ・デ・メヒコの奥様。この方からして好感で、予約時の応対の丁寧さや、食後の退出時に予期せぬ雨に見舞われた際には見送りがてら傘を提供しましょうか？と思いやりを感じさせる対応もいただき、会食の満足度を助長することにもなりました。このスタイルが従業員にも行き渡っているのでしょう。
　このレストランのメキシコ料理と接客スタイルを通して、メキシコに対する好感度が増したように思います。

　メキシコの御国柄は、S姉が渡航経験があられたものの、リゾート地カンクン他観光地を訪れた以上の披露がなされず、ここからは新たな認識は得られず仕舞い。
　逆にインド人A姉に、インドから見たメキシコのイメージは？と問うと、アメリカと同じレベルに見ているとのこと。隣国ということもあり地理的なこともありましょうが、アメリカほどでは無いにしても経済レベルが高い国と見えているようです。
　日本から見ればサボテンとソンブレロのイメージが抜けきらないのですが、経済については中南米の名目GDPランキングでブラジルに次いで第2位(両国がダントツ)、世界的に見ればNEXT11に名を連ね今後が期待される国です。
　この点においては、インドの方が正しくメキシコを見ていると言えるかもしれません。
　なお、関連して面白かったのは、メキシコ人とインド人は顔立ちが似ているので同胞と間違われるとのこと。実際この日も店員さんから「メキシコ人か？スペイン語は話せるか？」とチェックされていました(笑)。

　日本人というか、個人的なメキシコにおける関心事はやはりメソアメリカ文明。
　開催案内で記した通り、メキシコにはいくつかの文明が興り、現代のメキシコにも影響を残しています。
　とは言え詳しいわけでも無いので、今回少し学ぶと興味深いことが分かりました。
　一つには、文明と言いつつ、エジプト文明のようにファラオを戴いて一国として存在するケースではなく、日本でいう戦国時代のように諸侯の群雄割拠状態だったこと。
　二つには、アジア、ヨーロッパ、アフリカの三大陸の文明との交流を経験せず発展した文明らしく、それでも暦の概念や巨大建造物の建設技術など他文明と共通の文化が根付いていたこと。
　三つには、独自の文字を持ち、スペイン人の流入による文明破壊や伝染病による滅亡を経験しながらも、現代においても想像を含めての分析のみでなくある程度文明の有り様が明確に偲べる事(とは言え不明点も多いですけど)。
　それぞれ詳論していくと紙面が足りなくなるので、局所的な一点だけ記録に残しておきましょう。
　アステカ文明の資料を例にとると、往時の食事がどのようなものだったのかが追え、国がどのような仕組みで発展していったのかが分かります。
　例えば、人食い文化があったことが判明しています。生贄の四肢を大の字にロックして、生きたまま心臓をえぐりだし神に捧げ、皮を剥ぎ肉を削いで一部は地面に落とし、残りは上流階級に分け与え、それらはトウモコロシと共に煮込んで、それをトルティーヤと共に食す。その生贄はというと、おそらく当初は自分たちの村から人選していただろうも、徐々に他村から調達するようになり、それが目的で戦争を起こすこともあったようです。
　意外とえぐい文明だな…と思わずにはおられませんが、人肉とてたんぱく源となりえれば、敵を倒して喰らうというのも権力の誇示になると考えると、そのような文化が根付くのも必然かと。
　わざわざ取り上げた一つがこんな内容とは…と思いつつも引っ込めないToshです。(-_-;)

　スポーツについては、サッカー、ルチャリブレ(プロレス)、個人的にはピンとこないボクシング辺りが人気ですが、時事ネタながら野球を取り上げておきたいと思います。
　2023ワールド・ベースボール・クラシックでのメキシコ代表の活躍がとても印象に残りました。結果だけを見ると、日本が優勝、メキシコは準決勝で日本と当たり負けたためベスト4止まりでしたが、とてもレベルの高い試合をしていて日本が負けていても全くおかしくない内容でした。途中コロンビアに負ける失態はありつつも、アメリカに勝ったりプエルトリコに勝ったりと強豪国にも引けを取りませんでした。
　それ以外の大会を見ても、時々大敗もしますが、アメリカにはこれまでも勝つことが多く、2015年以降はコンスタントに上位に顔を連ねるようになりました。日本もうかうかしていられないナショナルチームとなった気がします。

　美術界からは画家フリーダ・カーロ。メキシコの現代絵画を代表する画家であり民族芸術の第一人者です。
　美術鑑賞が趣味のToshゆえ多少なりとも蘊蓄があったものの、日本で知られている人物ではないのでキーワードのみ提示するつもりでしたが、Y姉が自分ネタとして準備した一つだったとのこと。フリーダ・カーロでトークが膨らむとは望外の喜びでした。
　一本眉がエキゾチックさを湛える自画像、女性の権利拡大を標榜するテーマ、白人至上主義に対抗するカラフルな民族衣装などなど、自身のポリオや交通事故に起因する体調不良とも戦いながら政治色も感じさせる絵画を制作した画家。
　夫はこちらも著名なメキシコ人画家ディエゴ・リベラで、彼もまたメキシコのアイデンティティを守るテーマを多く描きました。
　フリーダとディエゴは、21歳差をものともせず結婚生活を送りつつライバル関係でもありましたが、双方が浮名を流し、一旦離婚後に再婚するなど波乱万丈なストーリーも見られます。ディエゴの方は生来の好色家だったようですが、フリーダは芸術家として認められようと打算的な浮気の側面があったのかもしれませんね。
　人生の機微をとやかくいう話でありませんので、二人はメキシコ美術史を代表する画家なのだ！と記すまでにしましょう。

　最後に「死者の日」に触れておきます。
　メキシコ人が記すブログの一記事だけで興味を引いたのですが、実はメキシコにとっては重要な日だったようです。
　死者を偲びそして感謝し、生きる喜びを分かち合うことを目的とした風習。11月1日、2日に祝われます。日本の盆と似ているようですが、日本のように厳かにということはなく、むしろ明るく楽しく祝うスタイル。バンド演奏や仮想などもあって大騒ぎすることになります。流石ラテン系！(笑)
　オフレンダと呼ばれるひな祭りの雛壇のような祭壇が準備されますが、室内どころか公園など目に付くところにも設置され、食べ物や飲み物、花、ロウソクなど様々なものが飾られます。
　メソアメリカ文明初期に発するようなので、スペイン人の侵略でキリスト教が入ったことに起因するわけではないようですが、キリスト教にも似たような概念があるので融合したと見られるようです。
　そういえば、メキシコ絵画を見ているとカラフルな髑髏が描かれることに気が付きます。この風習が影響しているのだろうと察します。

　以上がWGTメキシコの回。
　知っているようで知っていない国でしたが、料理・文化他、多くの側面で魅力的な個性が見られました。
　個人的な興味でもあるアステカ文明探訪を中心に訪墨してみたくもなりました。
　いつかチャンスが巡ってくるでしょうか？

　次回以降です。
　第157回は須坂姉がマレーシアで参加募集準備中
　第158回は善恵姉が初登場エルサルバドルで参加募集中
　第159回は保子姉が初幹事で選国中
　今後のWGT、いずれの回も皆さま奮ってご参加ください。

WGT主宰 Tosh

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